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- AKAI Pro. CREW(1)
- Accel Nagao(166)
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- アクセルとヨーセー(2)
イトーヨーカドーで卵、バター、牛乳、カボチャ、
ベーコンそれに耐熱皿などを買い、急いで家に帰る。
今日はホワイトデーリベンジデーである。
というのは昨日ねろのライブがあったことを言い訳に
ホワイトデーをおろそかにしたら大変香代に怒られ、
喧嘩になり、オレもふてくされたが、
畜生、じゃあ明日もう一度ホワイトデーをやってやろうと
妙な気合いを腹の中で入れてしまったのだった。
それで急いで帰宅してバターと小麦粉をこねてパイ生地を作った。
バターと小麦粉を手で混ぜていると触感がすごく気持よかったので、
(パティシエなんていうのも悪くないなあ)と甘いことまで考えてしまった。
とはいえパイ生地なんて初めて作るのだ。
ネットでレシピを見て分量は適当にやった。
こねた生地を冷蔵庫で寝かせてその間に他の食材をさばいていった。
おもてなし料理ということで洋風がいい。
香代は和食も好きだけど、洋食も好物なのだ。
それで今日はおいしーいキッシュを作って香代を喜ばすのだ、
と意気揚々はりきっていたら「ちょっと一杯やってくるから
ご飯先に食べててね」と香代からメールが入った。
がーん。折角もてなし料理を拵えているというのに、
これじゃあドラマなんかでよく見るあのシーンじゃん。
ごちそうを用意して恋人の遅い帰りを
頬杖つきながら待つ、あの切ないシーン。
でもアレの場合は恋人の帰りを待つのは女の人だ。
オレはフリーターでしがないバンドマンの男の人だ。
どの道ショックだ。どうしようか。
「ご飯待ってるから」とメールを打とうとしたが
それではうざったい恋人だし、何より、さりげなく
ご馳走を用意して迎えて香代を驚かすという狙いの邪魔になる。
とりあえず「何時頃帰る?」とだけメールして、
下ごしらえを一時中断して時間を潰した。
あまりにも返事が遅かったら一人寂しくキッシュを食べようと
覚悟していたが、ほどなくして「一時間後には帰宅する」
という香代の返事。
一時間じゃこっちが間に合わないかもしれない、と焦り、
急いでキッシュ作り再開。寝かした生地を下焼きして
スープを作って、焼き上がった生地にキッシュの具材と
卵を流し込もうとしたところで香代が帰ってきてしまった。
折角完璧なもてなしをしようと思っていたが、断念。
キッシュの具材と下焼きしたパイ生地を見られたので、
「今日はホワイトデーリベンジだからご馳走だ」と白状すると、
香代は眼を細めて感動していた。
昨日は喧嘩になったし、今も完璧なもてなしが間に合わなかったけど、
これでよかったと思った。
キッシュは初めて作った割にかなりうまくできた。
これは母もきっと喜ぶだろうと思って
いつもより多めのお供えをして香代と晩餐を始めた。
BGMはハノイロックスではなく、
ベンベヤジャズというアフリカのバンドのラテン風なヤツを流した。
なぜなら昨日喧嘩をした時の引き金となったのが
ハノイロックスのダサい胸キュンハードロックラブソングを
オレが「これいいでしょ」とか言いながら香代に聴かせたことだったからだ。
ベンベヤジャズのラテンサウンドがダイニングキッチンに溢れ、
楽しく会話していたら、今日の香代のメールの
「ちょっと一杯やって」というのは、誰かと一杯やってきたわけではなくて、
仕事が忙しくて大変で疲れたから、電車に乗る前に、
しかもフレッシュネスバーガーで1人で「ビールをちょっと一杯やって」
ということだった、とわかった。
「随分オッサンみたいなことするんだね」と冷やかすと、
「えっ、そう?よくやるけどね」と堂々としている。
オレは人といるとき以外酒を飲まないからさっぱりわからない。
それにしても時々香代が仕事後に「ちょっと一杯やってから帰る」
というメールをよこして、実際ちょっと一杯くらいの短い時間差で
遅く帰宅することがあり、その場合オレはてっきり職場の同僚かなんかと
お互いを労って焼き鳥屋なんかで呑んでくるんだと思ってたが、
もしかするとそれは全部フレッシュネスバーガーなのかもしれない、
それで一人でビールをグイとやっているんじゃないだろうか、と思い直した。
きっとそうに違いないと思い、世知辛い感じがして可哀想になった。
オレも彼女を養える人間に、早くなりたいと、
それは前々から思っていることだが、そんなことを考えながらも
仕事を辞めた後に行くインド旅行の話しなんかをしたのだった。









